筑後川戦記(上)歩きだすまで


筑後川ラソンのHPにタイム速報が載っていた。
フルマラソン男子は、完走者が1642人のようだ。
完走者のなかで俺は、下から、1、2、3、4、…。
ビリから15番だ!



いや、待て、よく見ろ。
赤ライン以下は、7時間の制限をオーバーしとるやん。
制限時間内完走者で数えると、ビリから7番だ!


精密に計算しつくされたギリギリ完走だ。
さすがは天才ランナー。

具体的にはどのように天才的な走りだったのかを2話に分けて振り返るのだ。


※   ※   ※


当日は快晴。
下見をした前日よりは涼しく、風も弱い。



最初、11分/キロで歩こうと思ったが、なかなか難しかった。
なぜなら、関門は34km地点までないと知ってはいても、
『最終』と書いたスタッフが2名、最後尾をついてくるのだ。


私は強い意志で歩き続けたが、ふりかえると最終チェッカーたちがいる。
その姿は少しずつ大きくなってくる。


3km地点ぐらいで、私はついにビリから2番目になった。
最終チェッカーたちの話す声も聞こえるぐらいの距離だ。
別に彼らは「おい、早く走れ。」と急き立てはしないが、
それでも暗黙のプレッシャーがある。


暗黙のプレッシャーに負けた私は、予定を切り上げてゆっくり走り始めた。
最終チェッカーとビリの男は次第に小さくなり、やがて見えなくなった。
結果、最初の10kmは、1時間40分かける予定が、1時間34分ぐらいで通過。
ビリから7番目ぐらいだろうが、これでもオーバーペースだ(><)


のち、10−20km地点は、ほぼ予定通り8分/kmで走れた。
この区間で、しんどそうなランナーたち百数十人を抜いた。


だから言うたやん、百数十人さんたちよ。
最初から走ってハーフ手前で早々に減速するぐらいだったら、
最初はしばらーく歩いて、途中から走り始める方がええねん。
すごいぞ、俺!


計算が狂ったのは、20kmを越えてから。
予定では、ここからペースをまた落として、
9分/キロで走ることになっていたが、
23km地点で、いつもの症状が。


右ふくらはぎ 「きゅるきゅる。きゅるきゅる。」


来た、おなじみの、右ふくらはぎのきゅるきゅる音。
今年春の小豆島ハーフのときもそうだった。



(写真は今年5月小豆島のときの悪夢)


この音がなったら、無理をしてはいけない。
無理をしたら道にうずくまって動けなくなる。


頭の中で残りの時間を残りの距離で割り算した。
計算上、残りをすべて11分/キロで歩いても、
6時間53分ぐらいでゴールできることが分かった。


ルフィ 「よし。じゃあ、あと全部歩こう。」


そう決意したのだった。


※   ※   ※


筑後川戦記(上)歩きだすまで』おわり


天才ランナーは残りの距離を無事歩ききることができるのか?
天才ランナーを襲う、新たなる痛み!
天才ランナーを救った、感動の助っ人!
天才ランナーが編み出した、新たなる走法!


次回、『筑後川戦記(下)歩き出してから』は、多分明日。